WiMAXの通信モードには、「ハイスピードモード」と「ハイスピードプラスエリアモード」の2つがあります。
ハイスピードモードはWiMAX2+回線を、ハイスピードプラスエリアモードはWiMAX2+回線とau回線を使う通信モードで、これらをうまく切り替えることでWiMAXの通信をより快適にすることが可能に。
本記事では、ハイスピードプラスエリアモードの概要や、メリット・デメリットを中心に解説していきます。
ハイスピードプラスエリアモードの使い方や通信速度を上げる方法についても取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
ハイスピードプラスエリアモードって?
(引用:UQ WiMAX「通信モード」)
私は当初「プラスエリア」という名前から、「使える場所が広くなるのかな」と思っていましたが、どうやら違うようです。
ハイスピードプラスエリアモードを知るには、WiMAXのそれぞれの電波の種類をおさえておくと分かりやすくなるので、順に通信モードを見ていきましょう。
WiMAX(旧WiMAX、ノーリミットモードとも言う)
WiMAXが初期から使っている電波の名称で、「旧WiMAXサービス」「ノーリミットモード」(速度制限がないことから)とも呼ばれます。
実はすでに2020年3月末にサービス終了が決定し、サービスの申込もすでに締め切っています。
現在は旧WiMAXサービスのみが使える端末を使用している人に向けて、WiMAX側が機種変更の呼び掛けを進めているところです。
WiMAX2+(ハイスピードモード)
WiMAXが旧WiMAXをパワーアップさせ、現在サービスの主流として使っている電波がWiMAX2+です。
WiMAXを契約する際に誰もが使う基本のモードが、このWiMAX2+を使う「ハイスピードモード」になります。
旧WiMAXに比べてWiMAX2+は下り速度が13.3Mbpsから最大440Mbpsに
旧WiMAXは下り最大速度が13.3Mbpsでしたが、WiMAX2+は下り速度が最大440Mbpsになったのでぐっと速い速度になりました。
実際の速度としては地方で30Mbps前後ということが多いですが、通信環境の良い場所や都心ではより速い通信が可能です。
WiMAX2+で使う周波数帯域の特徴
WiMAXの電波で使われている電波は、4G LTE通信よりも高い周波数です。
周波数帯が高いと、まっすぐに電波が進む「直進性」や、障害物を透過しにくい電波の性質によって、電波が障害物にぶつかり、電波は届きにくくなります。
山地や地下街などでは繋がりにくくなることもあり、基地局の設置が不足している箇所では圏外になってしまうことも。
WiMAX2+の通信を補ってくれるのが、次に述べる4G LTEも使えるハイスピードプラスエリアモードです。
WiMAX2+と4G LTEが使えるハイスピードプラスエリアモード
ハイスピードプラスエリアモードは、3種類の通信方法に分かれています。
ハイスピードプラスエリアモードは、WiMAXと4G LTE通信のうち電波を拾いやすい方を使ってより速い通信をすることが可能です。
- WiMAX2+で通信
- 4G LTEで通信(対応端末のみ)
- WiMAX2+と4G LTEで通信(キャリアアグリゲーション)
UQ WiMAXはauと同じKDDI系なので、4G LTE通信はauの電波を使うことができます。
1番目と2番目はそれぞれ拾いやすい方を使った通信方法ですが、最後の通信方法はWiMAX2+と4G LTEの両方を使って通信をするというもので、キャリアアグリゲーション(同時利用)という名前がつけられています。
(引用:UQ WiMAX「SpeedWi-Fi NEXT W06」)
WiMAX2と4G LTEの回線を束のようにして合わせて使うことで、WiMAXだけ、4G LTEだけよりも速い通信が可能なんです。
下り最大1,237Gbpsとなると、WiMAX2+の下り最大440Mbpsの数値の約3倍です。
(※キャリアアグリゲーションで1Gbps程度の速度が出る地域は、東京でもまだ一部のみであることに注意)
理論上の数字ではありますが、光の固定回線が平均1Gbpsと言われているので、ポケットWifiでもかなり速い通信ができるようになってきていることが分かりますね。
ハイスピードプラスエリアモードのメリット・デメリット
ハイスピードプラスエリアモードのメリットやデメリットを確認していきましょう。
ハイスピードプラスエリアモードのメリット
ハイスピードプラスエリアモードのメリットは以下の通りです。
- WiMAXが圏外になるエリアでも4G LTEなら通信できる可能性がある
- 地下街や高層ビルでも通信しやすい
WiMAXが圏外でも4G LTEで通信できる
WiMAXのほかに4G LTE通信も使うことができると、WiMAXのつながりづらさの欠点をうまく補ってくれるでしょう。
4G LTE通信は、スマホでよく使われている700~900Ghzの低周波数帯から、1.3Ghzなどのやや高めの周波数帯まで幅広く使われています。
低周波数帯の特徴には「透過性」があるため、障害物などがあっても反射せず、屋内の奥まで電波を届けることができます。
WiMAXの周波数帯は2.4Ghzと5.0GHzであるため、auの800GHzなどの低周波数帯を使えると、場所によるつながりにくさを軽減することが可能になります。
ハイスピードプラスエリアモードを使えば、WiMAXが圏外の地域や屋内であっても4G LTE通信で安心してネットを使うことが可能というわけです。
地下街や高層ビルでもつながりやすい
4G LTEの電波の届きやすさがあれば、地下街や高層ビルでもつながりやすいです。
電波の性質が届きやすいというだけでなく、日々のエリア改善や小型電波局の設置により、つながりにくい場所はどんどんなくなってきています。
WiMAXならauの電波局を使って通信することができるので、WiMAXでつながりにくいとされる地下街や高層ビルなどであってもつながりやすいというのは便利ですね。
ハイスピードプラスエリアモードのデメリット
ハイスピードプラスエリアモードのデメリットは以下の通りです。
- 7GB以上使ってしまうと、WiMAX2+も一緒に速度制限が掛かる
- 128Kbpsの速度制限解除は、翌月1日
- 人口の少ない地域や山地の多いエリアでは使えないこともある
7GB以上使ってしまうと、WiMAX2+も一緒に速度制限が掛かる
ハイスピードプラスエリアモードで通信できると何かと便利なのでたくさん使ってしまいそうですが、ここには落とし穴が。
ハイスピードプラスエリアモードにも7GBのボーダーがあり、超過すると送受信時最大128Kbpsの速度制限を掛けられます。
しかも、ハイスピードモードを全く使っていなかったとしても、ハイスピードプラスエリアモードで7GB以上使ってしまったのならば、ハイスピードモードとハイスピードプラスエリアモード両方のモードで速度制限が掛かる仕組みです。
128Kbpsの速度制限解除は翌月1日。月末までは低速での通信を余儀なくされる
ハイスピードプラスエリアモードだけで7GB以上使うと、ハイスピードモード(WiMAX2+回線)までも速度制限が掛けられてしまう送受信時最大128Kbpsの地獄は月末まで続きます。
したがって、解除は翌月1日。
月の半ばに速度制限が掛かってしまうと、何のためにWiMAXを契約しているのか考えるのもつらい状態になりそうです。
ちなみに私は月初にハイスピードプラスモードになっていることを忘れたまま長時間オンラインゲームをして7GBを超え、ほぼ丸1ヶ月使いものにならなかったということがありました。
ハイスピードモード(WiMAX2+回線)なら3日で10GB以上使って制限をかけられても翌日の18~26時に1Mbps程度の制限が掛けられるだけで、速度も使い物にならないほどには落ちません。
翌々日には解消されるものの、ハイスピードプラスエリアモードの速度制限には気を付けたいものです。
128Kbpsってどのくらい?速度制限にかかってもできることってあるの?さすがに動画は無理?
都心部や県庁所在地以外では使えないエリアも稀にある
キャリアはエリアの人口カバー率が99%と言われており、ほとんどの人は普段4G LTEが使えないということなく電波を使えています。
富士山の山頂でもWiMAX2+や4G LTEの電波が通じる時代になってきたくらいなので、実際にはほとんどないですが、稀に4G LTEも使えない地域もあるようです。
4G LTEが使えないエリアはWiMAX2+も使えないことが多いので、そのエリアに用事があるなら事前にエリア対応になっているかをUQ WiMAXのサイトから確認しておくとよいでしょう。
(参考:UQ WiMAX「WiMAXのサービスエリア」)
ハイスピードプラスエリアモードを使うには?
では、ハイスピードプラスエリアモードを使うには具体的にどのような契約をしたらよいのでしょうか。
ハイスピードプラスエリアモードの契約方法
ハイスピードプラスエリアモードは、使用した場合に課金される有料オプションの形態を取っています。
そのため、ハイスピードプラスエリアモードを使うための契約は特に存在しません。
基本的には1,105円/月の有料オプションとなりますが、3年以上の長期契約を結んだ場合は無料でオプションを使うことができます。
以前までUQWiMAXでは3年や4年のプランもありましたが、現在は契約期間の無いプランもしくは2年プランだけ。
ハイスピードプラスエリアモードを使うと、毎月オプション料金が発生してしまいます。
UQ WiMAXの新プランについては、こちらの記事で確認してください。
Broad WiMAXなら契約するだけでハイスピードプラスエリアモードが使える
WiMAXにはたくさんのプロバイダがあります。
そのうちBroad WiMAXは、契約プランが二択で選べるようになっており、どちらも3年制の長期契約となっています。
- データ通信量が無制限で使える「ギガ放題プラン」
- 7GBまで使える「ライトプラン」
Broad WiMAXを契約すると、必然的に4G LTEオプションが無料で付いてくるってことね!
(参考:Broad WiMAX「料金プラン」)
\料金詳細や契約方法も紹介しています/
Broad WiMAXの詳細、評判・口コミをチェック!
ハイスピードプラスエリアモードの使い方
ハイスピードプラスエリアモードは端末の画面設定から切り替えることができます。
使うときに心配なことや、使い方について、今回はSpeed Wi-Fi NEXT W06を例に紹介します。
勝手に切り替わることはない
広いやすい電波があったら、使うつもりがなくても勝手に切り替わっちゃうの?
大丈夫です、ハイスピードプラスエリアモードとハイスピードモードが勝手に切り替わることはありません。
以下の手順で操作すれば、モードを切り替えることができます。
- ホーム画面で「設定」
- 通信設定
- 通信モード設定
- ハイスピード/ハイスピードプラスエリア
- チェックボタンをタップ
タッチパネルの感度がいいのか、カバンやポケットの中で気付かないうちに触れてしまってハイスピードプラスエリアモードに切り替わってたみたいなの。
という人もいるようですが、タッチパネルにロックを掛けておけば、思わぬ速度制限に悩まされる心配はなさそうです。
無効に設定変更し、ハイスピードプラスエリアモードを使わないようにできる
タッチパネルにロックを掛けたとしても、指先の操作で簡単にモードを切り替えられるなんて不安・・・。
もちろん、ハイスピードプラスエリアモードを誤って使わないように無効に設定することも可能です。
設定したい端末をWifiでパソコンやスマホにつなぎ、設定ツールのあるwebブラウザにアクセスして、以下の手順で設定すれば、「ハイスピードプラスエリアモード規制」でモードの切り替え自体を無効にすることができます。
- 設定したWiMAX端末をパソコンやスマホにつないだ状態でネットを開く
- URLに「http://speedwifi-next.home/」と打ち込む
- ユーザー名に「admin」と入力
- パスワードは本体背面下部のIMEIの下5桁
- サブメニューの「WAN設定」を開く
- ハイスピードプラスエリアモード規制を選択
- オンにする
(参考:Speed Wi-Fi NEXT W06 取扱説明書)
心配であれば上述のような対策をしておけば、使うときも安心ですね。
ハイスピードプラスエリアモードをうまく活用するためには
ハイスピードプラスエリアモードにエリアが対応しているのなら、3年以上の長期契約をしてうまく活用できたらいいですよね。
最新端末なら7GBになる前に自動でハイスピードモードに切り替わる
使わないように気を付けいたのに、動画を高画質再生にしたまま寝落ちしてしちゃった・・・。
しかもハイスピードプラスエリアモードにしたまま・・・。
いくら気を付けていても、うっかり使いすぎることもあるでしょう。
W06やWX06といった新しい端末なら、ハイスピードプラスエリアモードで7GB以上の通信量に到達する前に自動でハイスピードモードに切り替わるという何とも優秀な機能が付いています。
(引用:UQ WiMAX、左:Speed Wi-Fi NEXT W06、右:Speed Wi-Fi NEXT WX06)
それ以外の端末を使っているのなら、通信量カウンターをこまめにチェックして7GBに達しないように切り替えたり、最初から切り替わらないよう設定しておく必要があるので、細かな設定が苦手であれば、最新端末を選ぶようにしましょう。
スマホがauなら「Flatツープラス」のLTEオプションを無料にできる!
auのスマホを使っているなら、WiMAXとのセット割でスマホ代が最大1,100円/月割引になる「auスマートバリューmine」に加入しましょう。
さらに、7GBまでのデータ通信プランである「Flatツープラス」を4年契約すると、ハイスピードプラスエリアモードのLTEオプションが無料というだけでなく、auスマートバリューmineの加入者ならデータ通信量の上限が撤廃され無制限に使えるようになります。
つまり、データ通信量が無制限に使える「ギガ放題」のプランでなくても、Flatツープラスの値段でLTEオプションも無料で使えるということです。
直近3日間で10GB以上通信した場合は、翌日の18時から26時まで1Mbpsの通信制限が掛けられてしまうことも注意しようね!
auスマートバリューmineに入っていても、ハイスピードプラスエリアモードで7GB以上使った場合は月末まで送受信時最大128Kbpsになってしまうことにも気を付けてね!
auスマートバリューmineの特典はありがたいですが、WiMAXとの契約が4年という長期になることを覚悟したうえで契約しましょう。
auスマートバリュー、スマートバリューmineの申し込み方法や注意点まとめ。いくらお得に使えるの?
ハイスピードエリアモードでさらに速度を出すには?
ハイスピードプラスエリアモードを使うなら、次のようなことを知っておくと速度を上げるときに役立ちます。
キャリアアグリゲーション+USB接続をする
キャリアアグリゲーションの解説をするときに使ったこの図に見覚えはあるでしょうか。
(引用:UQ WiMAX「SpeedWi-Fi NEXT W06」)
よく見るとWiMAX2+とau 4G LTEの同時利用で1,237Gbpsまで速度が出るというふうに読み取れますが、ただハイスピードプラスエリアモードにしただけではこの速度は出ません。
光回線並みの速度をWiMAXで出したいなら、以下の設定で使いましょう。
- キャリアアグリゲーションをwebブラウザからオンにする(初期値はオン)
- 4×4 MIMOをwebブラウザからオンにする(初期値はオフ)
- パソコンにSpeed Wi-Fi NEXT setting toolをインストールする
- パソコンとWiMAX端末とをUSB接続する
つなぐ場所や時間帯によっては思った速度が出ないかもしれないけれど、これで光回線並みの速度が出るのは感激するね!
コンセントに挿すだけで使えるホームルーターは有線LANで繋ぐと速い!
自宅メインで通信することの多い人で、固定回線以外の通信を使いたい人におすすめなのがWiMAXのホームルーターです。
ポケットWiFiでなくてもハイスピードプラスエリアモードを使うことはもちろん可能。
コンセントに挿して簡単な設定をするだけで使えますし、LANポートが付いているため有線接続することもできるのが特徴です。
より速く通信したいときは「ホームルーターをハイスピードプラスエリアモードにして有線接続」を試してみてください。
(引用:UQ WiMAX)
固定通信は工事が必要になり、場合によっては初期費用がかさんでしまうこともあります。
毎日持ち歩かないけれど、家でならパソコンやスマホでネットを使うんだよなあ。
という人は、ホームルーターを検討するのもいいかもしれませんね。
WiMAXのホームルーターってどう?遅いって本当?L02とソフトバンクエアーの比較、L01Sの使用感レビュー、口コミまとめ
最後に
WiMAXのハイスピードプラスエリアモードについて見てきましたが、いかがでしたか。
使う電波や周波数帯が増えることによるメリットや、7GBの速度制限というデメリットがあるということが分かりましたね。
WiMAXと他のポケットWifiとを比較した記事も書いているので、合わせて読んでおきましょう。