光回線の乗り換えを検討している際、現在のひかり電話で使っている電話番号をそのまま引き継げるかどうかわからず、不安で手続きを進められないという人もいるでしょう。
以前は「アナログ戻し」という手続きを行わなければ、乗り換え先の光回線で今までの電話番号を使えませんでしたが、現在では事業者変更制度により簡単に引き継ぐことができます。
ただし、場合によっては今でもアナログ戻しが必要になるケースがあるので、注意が必要です。
本記事では、アナログ戻しの意味や手続きの方法、アナログ戻しができる電話番号の条件や必要なケースなどについて詳しく解説します。
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アナログ戻しって何?
アナログ戻しについて、次のポイントから解説していきます。
- 光回線の乗り換え時にひかり電話の電話番号を引き継げるようにする手続き
- アナログ戻しには費用が掛かる
- アナログ戻しが不要になる「事業者変更制度」がある
結論から言うと、ほとんどの人は3番目の「事業者変更制度」を利用することで、面倒な手続きをせずに電話番号そのままで光回線を乗り換えることができます。
ただ、そもそもなぜ「アナログ戻し」という制度が必要だったのか、どのくらいの料金が掛かるのかといったことについてまず詳しく見ていきましょう。
固定回線を乗り換える時にひかり電話の電話番号を引き継ぐ手続きのこと
アナログ戻しとは、ひかり電話をアナログ回線に戻して、現在使用中の電話番号を引き継げるようにする手続きのことです。
ひかり電話に対応していない光回線に乗り換えるときや、自宅の光回線を廃止するときに必要になります。
なぜなら、新たにアナログ電話(電話ケーブルを電話機に繋げて使うタイプ)の回線を契約すると、これまで使っていた電話番号を使えなくなってしまうからです。
携帯電話の番号ならともかく、自宅の固定電話の番号が変わってしまうと各種契約時に不都合が生じるなど、何かと不便なことが多いですよね。
アナログ戻しを行うことで、ひかり電話をアナログ回線に戻しつつも、これまでの番号を引き続き使えるようになります。
参考:ひかり電話とは?FAX、ルーターレンタル料金もあわせて紹介
しかし、これまでの光回線による電話ではなくなるので、アナログ電話ならではのデメリットがあって不便に感じることも。
例えば、通話距離が長くなるほど信号が弱くなったり、雑音が混じりやすくなったりすることが増えます。
アナログ戻しには費用が掛かる
電話回線をアナログに戻すときは、専用の工事が必要になるため工事費が掛かります。
工事費の幅は2,200円から12,000円前後と幅が広いですが、それは回線の状況によって工事内容が異なるからです。
光回線への移行前に同じ場所でアナログ電話を使用していて、回線や設備がそのまま残っている場合は、NTTの局内で操作を行う「無派遣工事」だけで作業が完了することがあります。
しかしこのパターンは珍しいケースで、自宅にてアナログ電話回線を敷設する「派遣工事」を行う必要があることがほとんど。
派遣工事を行う場合は最大で13,200円くらいの費用が掛かりますが、屋内配線が残っていて工数を減らせる場合は8,800円前後になることがあるようです。
ただし、工事の内容はNTT次第で決まるので、アナログ回線が一部残っていてもすべて新規に引き直すこともあります。
いずれにせよ、アナログ戻しを行うために一定の費用が必要だということは、あらかじめ留意しておきましょう。
アナログ戻しが不要になる「事業者変更制度」がある
光コラボ(NTT回線を使っている光回線サービス)同士の乗り換えを行う場合、以前までは使用中の電話番号を変更先の光コラボへ直接引き継ぐことができませんでした。
そのため、一度アナログ戻しを行ってから光回線を変更して、再度ひかり電話の契約をするという何とも面倒な手続きが必要だったのです。
【以前】
光コラボ →(アナログ戻し)→ NTT東日本・西日本→(工事)→光コラボ
しかも、同じNTTの光回線を使用するにもかかわらず新規契約扱いとなるため、光回線の新規工事も必要でした。
しかし2019年7月より「事業者変更制度」が始まり、光コラボ同士の乗り換えが簡単にできるようになると同時に、それまでの電話番号を引き続き使うことが可能に。
【現在】
事業者変更
光コラボ →(アナログ戻し)→ NTT東日本・西日本→(工事)→光コラボ
事業者変更制度があれば、ひかり電話のアナログ戻しや乗り換え先での再契約といった、面倒な作業は、ほとんどの場合必要ありません。(例外は後半で触れています)
新しいシステムのおかげで光回線の乗り換え時のリスクが減り、気軽に回線を変えられるようになったのは便利ですよね。
もし、光回線の乗り換え手続きを行うときに、ひかり電話のアナログ戻しが必要だという案内をされた場合は、情報が古い可能性があるので改めて確認してください。
また、乗り換え先の光回線がひかり電話に対応していないときは、電話番号を引き継げるようにするためのアナログ戻しの手続きが必要になります。
参考:事業者変更が2019年7月解禁!光コラボ同士の乗り換えが簡単に
アナログ戻しの手順
アナログ戻しの概要が分かったところで、アナログ戻しの手順と、NTTの電話加入権について確認しておきましょう。
アナログ戻しの手続き方法と工事
アナログ戻しの手続きは、次の手順でNTTに連絡すれば進めることができます。
- 局番なしの「116」に電話を掛けてアナログ戻しの申し込みを行う
- 後日NTTの担当者からの連絡があり、工事日の調整や工事費の確認等を行う
- 電話回線の工事が行われて、アナログ回線での電話を使用可能になる
アナログ戻しの手順自体はこのように単純ですが、前述したように工事内容によって必要な費用が変わるため、あらかじめ電話にて工事費の確認をしておきましょう。
電話回線の敷設が必要な「派遣工事」の場合は1~2週間で行えることもあれば、引っ越しの多い3月~4月など繁忙期では1か月ほど掛かるなど、工事までの日程は、そのときの混雑状況や工事内容によって大きく変わります。
なお、光回線を解約する場合や他社へ乗り換える場合は、そのための手続きも必要になるので別途手配しておきましょう。
参考:NTT東日本
NTT東日本・西日本に「電話加入権」の確認を
また、アナログ戻しを行うときはNTTの「電話加入権」を所有しているかどうか、という点にも注意が必要です。
電話加入権とは、NTT東日本とNTT西日本の電話回線を契約するために必要な権利のこと。
現在の電話番号が光回線に変更する以前に発行したものであれば、基本的には電話加入権を所有しています。
しかし、NTT東日本ではひかり電話に移行してから10年経過すると電話加入権が消滅するので、光回線を10年以上使用している場合は電話加入権がない可能性が高いでしょう。
とはいえ、電話加入権が消滅している場合でも次の2つのいずれかの方法で、問題なくアナログ戻しをすることが可能です。
- 電話加入権を再度購入する
- 「加入電話 ライトプラン」で電話回線を契約する
できることならコストを抑えられる方法が良いですよね。しかし、電話加入権の再購入には36,000円と高額な費用が掛かるので、この方法はおすすめできません。
後者の「加入電話 ライトプラン」とは電話回線の料金プランのことで、電話加入権がない人を対象としたものです。
通常の「加入電話」が月額基本使用料1,595円から1,870円なのに対し、「加入電話 ライトプラン」では1,870円から2,145円になります。
電話加入権がないと通常より275円ほど月額料金が高くなりますが、電話加入権の再購入より安くなるのでこちらを選ぶと良いでしょう。
参考:NTT東日本「施設設置負担金の見直しについてのお知らせ」
アナログ戻しのできない電話番号ってどれ?
冒頭で、ほとんどの場合は事業者変更制度を利用することで電話番号の引き継ぎができると述べましたが、次のいずれかに該当する電話番号は、アナログ戻しができないので注意が必要です。
- NTTのアナログ回線で発番していない電話番号
- ソフトバンク光で発番されているBBフォンやホワイト光電話の一部
それぞれの注意点について見ていきましょう。
NTTのアナログ回線で発番していない電話番号はアナログ戻しができない
アナログ戻しが可能かどうかについては、その電話番号がどこで「発番」されたかということが重要になります。
発番とは電話番号を発行する手続きのことで、初めて電話回線を契約するときに必要です。
利用中の電話番号が元々NTTのアナログ回線で発番されたものなら、アナログ戻しを問題なく行うことができます。
そのため、最初にNTTのアナログ回線で発番さえされていれば、ひかり電話へ変更後にいくつかの回線で乗り換えていても問題ありません。
つまり、光回線を契約する以前に発番した電話番号であれば、基本的にアナログ戻しが可能だと考えて良いでしょう。
ただし、以下のいずれかに該当する場合はアナログ戻しができないので注意が必要です。
- NTT以外の事業者のアナログ回線による発番
- NTTひかり電話による発番
- NTT以外の事業者のひかり電話による発番
アナログ戻しとは、NTTのアナログ回線で発番した電話番号が光回線へ移行した後に、再び元の回線に戻すための作業なので、そもそもNTTで発番していない番号は対象外になります。
同様に、ひかり電話で発番した番号はアナログ回線の電話番号ではないので、やはりアナログ戻しをすることはできません。
ソフトバンク光はひかり電話(N)なら不要、BBフォンではできない
ソフトバンク光でアナログ戻しが必要なケースや、アナログ戻しが不可能なケースは次の通りです。
電話 | ソフトバンク光に 乗り換え |
他の光電話へ 乗り換え |
|
ひかり電話(N) | 不要 (引き続き使用可) |
||
BBフォン | 不可 (現在の電話番号は使用不可) |
||
ホワイト 光電話 |
NTTの アナログ回線で 発番 |
不要 | 必要 |
他の光回線で 発番 |
不可 |
現在契約中の光コラボからソフトバンク光に乗り換えるとき、「ひかり電話(N)」を契約する場合は事業者変更制度で現在の電話番号をそのまま使用できます。
しかし、BBフォンはソフトバンク独自のIP電話であるため、回線変更後にこちらを利用する場合は現在の電話番号は引き継げず、新たに発番する必要があります。
また、ソフトバンクへ乗り換えた後にホワイト光電話を利用する場合は、いずれの電話番号でもホワイト光電話へ乗せ換えができるのでそのまま利用できます。
ただし、他社の光コラボへ乗り換えるときは、NTTのアナログ回線による発番と他社の光回線による発番で、引き継ぎ可能かどうかが分かれるので注意が必要です。
このように、ソフトバンク光では条件が複雑になるので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
ドコモ光の10ギガプランは光電話非対応でアナログ戻しが必要!
2020年4月から、ドコモ光では10Gbpsに対応した超高速通信プランである「ドコモ光 10ギガ」を開始していますが、申し込む際には注意しておかなければいけないことがあります。
それは、ドコモ光の10ギガプランは光電話に非対応であるということです。
同じく10Gbpsの速度に対応しているフレッツ光クロス同様、ドコモ光では10Gbpsプランにおいて光電話に対応していないため、10Gbpsプランで光電話も利用する場合は、アナログ戻しが必要となります。
ソフトバンク光は10Gbpsプランでも光電話に対応しているため、光電話を現在と同じ番号で引き続き使いたい場合は、ドコモ光よりもソフトバンク光を選ぶと良いでしょう。
参考:ソフトバンク光10ギガのエリア・料金や評判、申し込む前に確認しておきたいことまとめ
参考:【ドコモ光】 10ギガのエリア・料金・プロバイダ・特典最新情報!
アナログ戻しが面倒ならひかり電話を新規で発番するのもアリ
アナログ戻しの概要や工事費、料金、アナログ戻しの必要なケースについて整理してきました。
転用や事業者変更制度によって、現在では多くの場合においてアナログ戻しをする必要はありません。
ただ、全ての場合において必要なくなったわけではなく、NTT以外で発番したひかり電話から他に乗り換える場合は、いくらか手続きをしなければいけないこともあります。
アナログ戻しをしてからひかり電話に乗り換え直すのが面倒という場合は、いっそのことひかり電話を新規で発番するのも一つの手でしょう。
なお、各光回線の公式サイトにはひかり電話の乗り換えや引継ぎについて申し込み画面やよくある質問で説明されているところも多いです。
自分のケースはどの手続きになるのか、気になる人はあらかじめて調べておくといいかもしれません。