ポケットWifiの広告に踊る「無制限」の文字を見て「あんなの嘘でしょ」「本当に無制限に通信できるわけが無い」と思う人も多いでしょう。
結論から言うと、ポケットWifiで一切何の制限もないものは存在しません。
ただ、それは別にポケットWifiに限った話ではなく、スマホの無制限プランにも固定回線のプランにも何らかの制限はあります。
本記事では、ポケットWifiの無制限の定義や、最近話題になっている限界突破WiFiやどんなときもWiFiなどのクラウドSIMを使った無制限WiFiについても解説していきます。
ポケットWifiの無制限の定義とは?どうして嘘と言われるの?
ポケットWifiで言う「無制限」の定義とは何なのかを確認していきましょう。
ポケットWifiの「無制限」とは?
ポケットWifiで「無制限」の定義を考える時、基準は3つあります。
1つ目は「短期制限」、2つ目が「月間制限」、3つ目が「大容量通信による一時的な制限」です。
無制限に使えるWifiを謳っていたとしても、このいずれかの制限が掛かっているため、何らかの制限を受けた時に「無制限なんて嘘だ」と感じてしまうわけです。
ポケットWifiの「短期制限」は3日で10GBや1日2GBまでなど短期的なカウント
条件 | 制限 | |
WiMAX |
3日で10GB超 | 翌日18時~2時まで 最大1Mbps |
Y!mobile | 翌日18時~1時まで 最大1Mbps |
|
縛りなしWiFi | 1日で2GB超 | 当日128Kbps |
THE WiFi | 1日で4GB超 | 当日から翌日9時まで 128Kbps |
1つ目の「短期制限」は、通信量をカウントする日数が短く、制限を受ける日にちも短いのが特徴となっています。
無制限をウリにしているポケットWifiによく設けられていて、当日や翌日以降制限を受けるものが多いです。
特に、2019年秋にいきなり制限内容が変更された「縛りなしWiFi」は評判が急落。
無制限を謳うポケットWifiが2019年は特に多く出てきていますが、長年サービスを提供しているところと比べると、新しいところほど急な変更などで惑わされる可能性が高いと言えます。
ポケットWifiの「月間制限」は月末まで1Mbpsや128Kbpsの制限が続く
2つ目の「月間制限」は、7GBや30GB、50GBなどの当該月に使える通信量を超えてしまった場合に掛かる制限です。
通信量を超えた瞬間やその日から1Mbpsもしくは128Mbpsの速度制限が月末まで続きます。
携帯サービスで既に月間制限が浸透していたためか、月に使える通信量が無制限であれば「無制限」とする風潮が広まってしまった感じがあります。
違法ダウンロードや回線の占有による一時的な制限を受ける可能性もある
大容量通信が当たり前になってきた現在では、「短期制限」も「月間制限」も無いプランも多く発表され、利用者も増えています。
「何の制限も無く、本当に無制限に使えるのか」と感激している人も多いでしょう。
ただ、3日で10GBや50GB/月といった制限がない通信では、違法ダウンロードや回線の占有状況によっては384Kbps以下の速度制限を受けることもあります。
結局、短期制限や月間制限が無くても、ある基準を超えた段階で制限を受けることになるわけですから、本当の意味で無制限に使えるWifiというのは存在しないと言えます。
どうしてポケットWifiが無制限に使えるのは嘘と言われるようになったのか
ではどうして、「無制限に使えるポケットWifiは、嘘だ」と言われるようになってしまったのでしょうか。
それには3つの理由が考えられます。
- 「無制限」を前面に出した広告表記
- WiMAX2+回線になってから制限が設けられた
- 通信技術の発達により、通信を制御しないと公平な通信ができない
順に理由を見ていきましょう。
「無制限」を前面に出した広告表記が多い
本当は短期制限があるのにも関わらず、「無制限」の文字ばかり大きく表示して、制限内容は欄外に※で小さく記載するといった、さも無制限に通信できるかのような広告を出していることが、「無制限は嘘」と言われる一つの理由です。
ただ中には100GB程度で制限されるのにそれは小さい表記で書いていて、無制限と謳っているケースもあります。
WiMAX2+回線になってから制限が設けられた
現在のWiMAXは、WiMAX2+回線を主に利用するハイスピードモードを使って通信する機器がほとんどですが、数年前までは旧回線であるWiMAX回線を使ったノーリミットモードを使えるものも多くありました。
旧回線は、WiMAX2+回線と異なり、短期制限無く通信できるという特徴があります。
実は、WiMAXに短期制限が設けられるようになったのはWiMAX2+回線が導入されてから。
「WiMAXは無制限に使えるはずなのに」という印象を持ってしまっていると、短期制限のあるWiMAXに対して「嘘つき」と思ってしまうかもしれません。
通信技術の発達により、通信を制御しないと公平な通信ができない
近年、日進月歩で発達する通信技術の恩恵を受けている私たちは、いつでもどこでも手元のスマホでドラマを観たり、音楽のストリーミングをしたりして過ごせるようになってきました。
ゲームや雑誌、映画、音楽のサブスクリプションなどが進むなかで、ますます大容量通信への需要は高まるばかり。
しかし、ある程度通信に制限を設けておかなければ一定層に回線が占有されてしまい、公平な通信を提供できない可能性があります。
そのため、キャリアを始めどの回線においても、短期制限や月間制限以外の制限(=平常的に通信を制御する/違法ダウンロード時の制限)などを記載した文章をサイトに掲載するようになってきました。
残念ながらその文章さえも※印で小さく書かれているため、契約時によく読んでいない人が「制限があるじゃない、無制限なんて嘘」と言うようになってしまっています。
短期制限も月間制限も無いクラウドSIMは、基本的には制限に掛からない
結局、企業の広告の作り方や、消費者の契約書やプラン内容の把握不足もありますが、販売側の責任として完全に無制限に使えるポケットWiFiは無いということは、事実として伝えていくことは必要でしょう。
ただ、回線を占有することによる制限や違法ダウンロードによる制限は、一般的な使い方をしていれば掛かることはありません。
毎晩Amazonプライムビデオで映画を観たり、音楽をストリーミング再生しながら作業したりしていても、短期制限がない大容量のポケットWiFiであれば、基本的には制限を心配しなくても大丈夫です。
以下からは、クラウドSIMの仕組みや速度制限に掛からない理由について解説していきます。
クラウドSIMを使った大容量WiFiについて
クラウドSIMとは、従来のように端末に入ったSIMカードではなく、ネット上にある仮想のSIMで通信をする次世代型の通信システムです。
どこよりもWiFiやMugen WiFi、それがだいじWiFiなどはクラウドSIMを使った端末を採用しているため、短期や月間の制限無く使うことが可能です。
クラウドSIMとは?どんな仕組み?
仮想のSIMといっても、実際どのような仕組みで通信できるのかよく分かりませんよね。
イラスト入りで説明していきます。
これまでは、端末の中に入ったSIMの情報を読み取ることで回線に接続していたため、auのSIMならauの端末と回線で、ドコモのSIMならドコモの回線でといった縛りがありました。
しかし、クラウドSIMはサーバーからSIMの情報を読み込みます。
これにより、端末のSIMに依存することなく通信できるため、複数のキャリアから自動で回線を拾うことが可能になるというわけです。
なぜクラウドSIMを使った大容量Wifiには速度制限が設けられていないのか
日本では、クラウドSIMを使うことでドコモ回線やau回線、ソフトバンクの回線を拾うことが可能です。
クラウドSIMの大容量WiFiのなかには、ソフトバンク回線だけ繋がるというものもありますが、多くのポケットWiFiではトリプルキャリアに対応しています。
キャリアに短期制限や月間制限があるのにも関わらず、キャリアの回線を使うクラウドSIMには、短期制限のみだったり、月間制限のみだったりするのでしょうか。
その答えは、利用する回線にあります。
クラウドSIMがキャリア3社が提供する回線を利用しているのは確かですが、キャリアの4G LTEと全く同じ回線を使っているわけではありません。
実際に、クラウドSIMやWiMAX、auの実測調査をしたところ、同時刻・場所で測定してもキャリアと同じ下り速度が出ることはありませんでした。
つまり、クラウドSIMが借りている回線はキャリアが持っている回線の一部であって、回線速度の速い回線を使えるとは限らないということです。
速すぎず遅すぎない回線をクラウドSIMが提供されているのであれば、たとえ大容量通信をしていたとしても回線への負担はほんの一部でしかなく、占有状態が続けば他のキャリアに切り替えるように切れば済む話です。
契約者は利用する回線を選ぶことはできないため、キャリアにとってもクラウドSIM側に取ってもwin-winなシステムと言えるでしょう。
【トリプルキャリア】クラウドSIMの仕組みとは?eSIMとの違いやクラウドSIMのポケットWiFiを使うメリット・デメリット
クラウドSIMのポケットWiFiを実際に使っている人の制限状況に関する口コミ
実際のところ、クラウドSIMのポケットWiFiに速度制限が無いと言っても、制限に掛かっているのではないかと疑いたくはなります。
そこで、限界突破WiFiやどんなときもWiFiなどのポケットWiFiで制限を受けてしまった人はいるのかを調べてみました。
【限界突破WiFi】の速度制限に関する口コミ
#限界突破WiFi 、フジWi-Fiみたいに制限なし10GB/日に対抗してくれないかなぁ。
それなら、まだ限界突破というネーミングでも通用するけれど。
ちょっと不安定だから、物理SIMで100GB/月に移行するか、悩み中。
少しずつ改善はされていますが…。
— ゆき@奈良 (@yukiBDMovieLove) September 4, 2020
限界突破WiFiは、1日5GBで4Mbpsの制限が、10GB以上で128Kps以下の制限が掛かるように、制限のルールが変更されています。
以前は1日に100GB使っても制限が掛からないといったこともあったので、ユーザーからすると残念ですね。
【どんなときもWiFi】の速度制限に関する口コミ
どんなときもWiFiはソフトバンクばかり繋がって、それ以外に繋がらないといった口コミも多いですが、楽天モバイルやauに繋がったという人も少なからずいるようです。
その為、ご利用場所によってはdocomo/au回線を掴むことももちろん御座いますし、実際にdocomo/au回線で接続されているお客様も確認しております。
何卒ご理解の程、宜しくお願い致します。(3/3)— どんなときもWiFiお客様サポート (@donfi_support) October 18, 2019
どんなときもwifi 10日目。
平均1日15GB使ってるが本当に速度制限ない。
回線はソフトバンクau五分五分で繋がる。ドコモはない。楽天(ドコモMVNO)に繋がったこともあった。
ソフトバンクに繋がった時は、再起動してauにして使ってる。(auの方が早いから。SBも早い時あるけど…) #どんなときもwifi pic.twitter.com/1k0uaFTIug— ゆう◢͟│⁴⁶ (@yu_kotori_aaa) October 20, 2019
速度制限とは関係なく、クラウドSIMでは高速で通信できる3大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)以外に楽天モバイルの回線を掴むことがごくまれにあります。
そうすると、制限にかかっていなくても著しく遅い速度になってしまうというデメリットがあります。
ただこうなってしまった場合は電源を切るなどの対処で解決可能。基本的には大容量を使っても制限がかかあらず高速通信することが可能です。
できるかぎり無制限を求めるならばクラウドSIMのポケットWiFi
クラウドSIMを使った無制限WiFiは、短期制限や月間制限も無く使えます。
あまりに大容量を消費するおかしな使い方をすれば稀に制限がかかることもあるようですが、一番制限がかかりにくということには間違いありません。