ルーターを2台使っても、回線速度が速くなるわけではありません。
むしろ、設定の仕方次第ではWiFi干渉で以前よりも接続しづらくなることがあります。
それでも、ルーターや有線LANケーブルが余っている、家全体の電波状態を改善するために2台目を置きたいと考えている人も多いでしょう。
本記事では、ルーターを2台設置するメリット・デメリットや、目的別運用方法について見ていきます。
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ルーターを2台設置を検討する理由は?
ルーターを2台置いても通信速度が速くなるどころか遅くなる原因となります。
それでも2台目や3台目を検討する人は多いようです。
WiFiの電波が2階や別の部屋まで届かないから
ルーターの無線LAN接続で使われる2.4GHzや5GHzの周波数は高周波数帯にあたり、分厚い壁や窓ガラスなどを透過しづらいという特徴をもっているため、使いたい部屋まで電波が届かないことがよくあります。
特にアンテナが内蔵されたルーターは垂直方向よりも水平方向に電波が広がりがちで、2階や3階に電波が行き届きにくいことが多いです。
また、マンションや平屋で部屋数が多く、WiFiの設置箇所から離れている場合も、電波が反射して届きづらくなってしまいます。
無線LAN接続できる台数を増やしたいから
部屋にパソコンやプリンタ、タブレット、スマホ、Alxaなど無線LANで接続している端末が多いと、ルーターの接続可能台数をオーバーしてしまい、ルーターの負担となることがあります。
また、有線LANの接続口はルーターに2~4台ということが多く、PS4やデスクトップパソコンの接続を考えると接続口が少ないと感じる人もいるでしょう。
通信速度を少しでも上げたいから
回線速度の遅さに悩んでいる人の中には、ルーターを2台繋げば何となく速度が速くなりそう」と思っている人もいるようです。
確かに、ルーターの性能次第で回線速度は変わりますが、ルーターを2台置くと余計に速度は落ちてしまうことも。
ルーターや有線LANケーブル、利用しているプロバイダ、利用時間帯など回線速度には様々な要因が影響しているため、ルーターの台数を増やすのは通信環境を見直してからにしましょう。
ルーターや有線LANが余っているのを使いたいから
新しいルーターの購入を考えていて、せっかくだから古いルーターを使ってどうにか環境整備に使えないかと思案している人も多いと思います。
ただ、接続の仕方や設定方法によってはインターネット環境が崩れる可能性もあるため、ルーターの接続や管理画面設定変更等を責任を持ってできる人は試しても良いかもしれません。
WiFiが接続できないときの原因と対処法、問題はルーター側?PC・スマホ側?
ルーター2台設置は本当に必要!?あらためてチェック
ルーター2台目を設置する前に、本当に購入が必要なのか一度確認してみましょう。
遠くまで飛ばすなら中継器でも十分可能
中継器はルーターの電波をより遠くまで飛ばすのに適した機器で、コンセントに挿して簡単な設定をするだけで使えるものが多いです。
2階の電波が弱くて悩んでいるのであれば、中継器を使えばほとんどの問題は改善されます。
無線LANルーターから中継器までの間に障害物を置かない、両者を離しすぎないといった配慮事項はありますが、有線LANケーブルを使うことによる配線の悩みがないのはありがたいですね。
中継器についてはこちらの記事で詳細を書いていますので、ぜひ参考にしてください。
【WiFiが届かない】2階や寝室、お風呂まで無線LANの電波を飛ばすには中継器が良い?ルータの場所やアンテナの向きにも着目しよう
有線LANケーブルは回線速度に対応している?
光回線終端装置(ONU)と無線LANルーターを繋ぐ有線LANケーブルは、契約している回線が出せる最大回線速度に対応したケーブルか確認してみましょう。
実は通信環境に適した有線LANケーブルを使えていない場合、本来の速度を出せていない可能性があります。
CAT5 | CAT5e | CAT6 | CAT6A | CAT7 | CAT8 | |||
通信速度 | 100Mbps | 1Gbps | 10Gbps | 40Gbps | ||||
伝送帯域 | 100MHz | 250MHz | 500MHz | 600MHz | 2000MHz | |||
対ノイズ 性能 |
× | 〇 | ◎ |
(参考:ELECOM公式HP)
通信速度や性能によって分けられたカテゴリが上表です。
100均一ショップで手軽に入るようなCAT5のケーブルは使わないのが賢明と言えます。
できればCAT6A以降で対ノイズ性能も良いケーブルを選びましょう。
設定次第ではWiFi干渉で通信速度が落ちてしまうかも
スマホに設定画面があるように、ルーターにも管理画面が存在します。
ルーターの管理画面を見たり変更したりしたことがない人にとっては、設定を変更するだけでも一苦労です。
また、設定がうまくいかずWiFi干渉を起こした場合は接続に影響するため、トライ&エラーを繰り返しながら自分でルーター設定を変更していかなければいけません。
ネット周辺機器のことがよく分からないという人は、ルーター設定のことは忘れて中継器を購入して設置しましょう。
有線LAN接続数(ポート)を増やしたければハブで代用可能
単に有線LAN接続口を増やしたい場合は、ルーターと端末の間にハブを挟めばいいだけです。
2台目のルーターや中継器を購入するよりも安いので、ゲーム機やパソコンなどで有線LAN接続を多く使う人はこちらも検討してみてください。
もちろん、接続ケーブルのCATは6や6A以降を使うのがベストです。
ルーターを2台設置するメリット・デメリット
では、ルーターを2台設置するメリット・デメリットについて見ていきましょう。
ルーターを2台設置するメリット
ルーターを2台設置することによるメリットは以下の通り。
余計な出費をしなくて良い
回線速度を考えると、定期的にルータを買い替えることは大切です。
ただ、中継器としての役割が古いルーターで代用できるなら捨てなくて済みますよね。
わざわざ中継器を購入しなくても、ルーターの設定を少し変更するだけで十分です。
ルーター同士を無線接続すれば配線もすっきりする
2台のルーターを無線接続で使えれば、有線LANでルーターを繋がなくても通信できるため部屋がすっきりと片付きます。
ネット周辺機器の配線の多さや収まりの悪さが気になっている人は多いでしょう。
小さな子どもやペットを飼っている家庭でも、部屋に這わせた配線の心配をしなくて良いのは助かりますね。
ルーターを2台設置するデメリットとは?
ルーターを2台設置することによるデメリットは以下の通り。
設置や設定がうまくできなければ電波干渉で悩むことになる
ONUやルーターの設置箇所やケーブル接続、ルーターの管理設定がうまくできない時に自分で解決できない場合、2台設置しようとしたことでインターネットに接続できなくなる可能性があります。
プロバイダや回線業者に依頼して訪問や作業となると、費用も発生してしまうでしょう。
無理に設置せずに中継器等を買っておいたほうが安く上がるかもしれません。
ルーターの電源や設置場所を考える必要がある
ルーターを2台設置してから気付くことがあるのは、ルーターの電源や配線、設置場所の問題です。
ルーターを置くことでその電源や配線を通す空間が必要になります。
床下収納や地下に配線を流せる家はそう多くないでしょう。
また、電波の具合によっては最適な設置場所を探す必要が出てきます。
【図解】回線終端装置(onu)とは?ルータやモデムとは違うの?初心者でも分かるONU設定方法やネット接続方法
ルーター2台持ちにおすすめの接続方法は無線LAN接続
配線が気になる人におすすめなのは、古いルーターを中継器として使い無線LAN接続する方法です。
接続方法1:古いルーターを中継機モードにして無線LAN接続する
古いルーターは中継機モードしておけば、有線LANでルーター同士を接続しなくても親機(ルータ1)の電波を子機(ルータ2)で受け取ることができます。
無線LAN接続にすることで配線が気にならない
廊下や壁に配線を這わせることができない人は、この方法で接続すると配線で部屋が乱雑になることもありません。
ちなみに、子機(ルータ2)は電波を受信するだけでルーターを2台使っても接続台数が増えるわけではないので注意してください。
ルータは同じメーカーで相性の良いものを選ぶ
ルーターを使う時は、設定のしやすさという観点で考えると同じメーカーのものが良いでしょう。
また、ルーターには機器ごとに相性の良し悪しがあるため、ハイスペックのものをとりあえず買うというよりは古いルーターとの相性を考えて選びたいですね。
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接続方法2:無線LANルータ2台を並列利用するなら電波は分ける
回線業者が設置した機器をもとに、1階と2階で無線LANルーター2台を並列に繋いで使うという接続方法もあります。
接続する機器によって2.4GHzと5.0GHzを使い分けるようにする
ただ、そうなった時に気になるのは電波干渉の問題です。
他の部屋から飛んでくるWiFiが自分の部屋まで飛んでいることは集合住宅ではよくあること。
ルーターの電波やチャンネルで近いところを使っていると電波が不安定になってしまいます。
そこで重要になるのが、2.4GHzと5.0GHzの周波数を使い分ける方法です。
ルーターによっては2.4GHzしか使えないものもあるので、購入時はきちんと確認しておきましょう。
ルーターの設置場所は電波干渉しないようにできるだけ配慮する
アンテナ付きルーターは、向きによっては垂直方向に電波を飛ばしてしまうことがあります。
階層が分かれていても、ルーターから飛ばされる電波の方向には気を付けておかなければいけません。
階層ごとにルーターを設置する際はできるだけ水平方向に電波を飛ばし、互いに干渉しないような場所に設置するよう心掛けましょう。
ルーターを2台設置する前に中継器や通信環境の整備を優先して
ルーター2台を設置するメリットやデメリット、ルーター2台の接続方法について解説してきました。
電波が不安定になったり、拾いにくい時はルーターを2台うまく設置することで電波状態が良くなることがあるのは確かです。
ただ、無理にルーターを2台設置しなくても、ルータの設置場所や中継器の利用で改善できます。
手元にルーターやケーブルが余っていて、自分でルータの管理設定ができる自信があれば試しても良いかもしれません。
多くの人は、中継器や通信環境の整備を優先するので十分でしょう。