光回線とはそもそも何なのか、よく分からないという人も多いのではないでしょうか。
専門用語も多く、難しいイメージがありますよね。
本記事では、光回線のいろはを分かりやすく図解し、おすすめの人気事業者ついても解説します。
読み終える頃には、光回線についてすっと理解できているはずです。
光回線とは何か?他のデータ通信サービスには何があるの?
光回線って、とりあえず速い通信なんだよね?
光ファイバーって言葉を聞いたことあるよ!
2000年代初頭と比較すると、確かに光回線はより多くの情報を速くやり取りできるようになりましたが、いったいどのような通信なのでしょうか。
光回線とは、家庭向けの光ファイバーによるデータ通信のこと
光回線は、光ファイバー技術を使ったデータ通信方法のことをいいます。
スマホの4G通信やWiMAX通信、ADSL通信とも違う光回線についてもっと掘っていきましょう。
光ファイバーって?
光ファイバーというのは、石英ガラスとプラスチックでつくられる繊維状の物質を言います。
この光ファイバーを束ねてケーブルにし、パソコンなどの端末から出る電気信号を光信号に変えて通信するのが、光回線です。
子どもの頃、学校の理科の時間に「光の屈折」についての実験がありましたよね。
異なる物質の境界面で光が一定の角度で入射すると、「全反射」という現象が起こるというのを覚えていますか。
光ファイバーでできたケーブルの中で全反射を繰り返しながら光が進むことで、1Gbpsという高速通信が可能になります。
なお、インターネットが普及し始めた頃に日本中に広がったADSL通信は、メタルケーブルを使用しているため、ADSLから光回線に替える時には工事が必要です。
FTTHは光回線とは違うの?
光回線を調べていると出会う用語にFTTHがあります。
FTTHとは、Fiber To The Homeの略で、光回線の通信方式のことを言います。
日本で使われている固定系ブロードバンドのうち、約8割がFTTHです。(※)
ただ、マンションなど回線を共同して利用する場合の3つの配線方式のうち「光回線方式」以外の「VDSL方式」と「LAN方式」は狭義の意味ではFTTHとは言えません。
それらはFTTB(Fiber To The Building)と呼ばれる別の方式です。
- FTTH…光回線方式
- FTTB…VDSL方式、LAN方式
FTTHとFTTBの違いは、共同利用配線の全てが光回線かどうかという点にあります。
(※参考:総務省公式HP「電気通信市場の分析結果・新たな基本方針について」)
光回線方式(FTTH)
光回線方式は、各部屋の壁まで光ファイバーが来ています。
そのため、光回線方式を取っているマンションの壁には「光コンセント」があり、部屋まで光ファイバーが通っているので1Gbpsの速度での通信ができます。
VDSL方式(FTTB)
VDSL方式は、マンションの共用部まで光ファイバーが通っていますが、途中からはVDSLと呼ばれる電話回線を使って各部屋に配線されています。
VDSLケーブルは下り最大100Mbps程度なので、部屋で1Gbpsが出るルーターや有線LANを使っていても、残念ながら100Mbps以上出ることがありません。
YouTubeを標準画質で再生するなら、1Mbps程度の速度が出れば見ることはできると言われていますので、普段使うにあって大きな問題はないでしょう。
LAN方式(FTTB)
LAN方式は、マンションの共用部まで光ファイバーが通っていて、途中からLANケーブルで各部屋に配線されています。
LAN方式の場合、速度は契約上下り最大100Mbps程度となる(※)ことが多いです。
無料でインターネットが使える集合住宅に多いLAN方式の場合は、LANポートに1Gbpsの速度に対応したLANを挿し込んでもそれ以上の速度は出ないことに注意が必要しておきたいですね。
(※参考:NTT東日本公式HP「フレッツ光ネクスト マンションタイプ」)
光回線にも種類がある。「光回線=フレッツ光」ではない!!
光回線と一口にいっても、その形態は様々です。
- NTT東日本/西日本が自社の回線をそのまま提供しているタイプ
(「フレッツ光ネクスト」「フレッツ光ライト」など) - NTT東西が使っていない回線を借りて提供しているタイプ
(「auひかり」「nuro光」など) - NTT東西以外の自社回線網をもつ会社が提供しているタイプ
(「アルテリア・ネットワークス」など) - ケーブルテレビ(CATV)タイプ
(「j:COM」など) - NTT東日本/西日本の回線を利用して、自社のサービスをプラスするタイプ
(いわゆる光コラボ)
本来「光回線≠フレッツ光」ですが、同じだと思い込んでいる人は多いです。
これは、日本で使われている光回線網の多くがNTT東日本/西日本によるものだからでしょう。
(上記で言えば1・2・5がNTT東西の回線)
光の回線を使っていたとしても、どのタイプで契約するかによって料金や回線速度、工事の有無、契約先などが変わってくるので、それぞれの特徴をしっかり押さえておくことが肝心です。
光回線と光コラボレーションの違いって何?
光コラボレーション(通称:光コラボ)は、NTT東日本/西日本のフレッツ光などから回線の提供を受けた事業者が、自社のサービスと組み合わせて光回線サービスを提供するという仕組みを言います。
従来はインターネット接続にあたり、回線業者と、ネットと回線を繋げてくれるプロバイダとの2つの契約が必要でした。(下図)
しかし、光コラボでは、光コラボ事業者との契約だけで済むうえ、光コラボ事業者が提供する独自のサービスも合わせて受けられるため、最近では光コラボに替える人が増えています。
光コラボとは?フレッツ光からの転用や乗り換えにおすすめの事業者一覧!
ADSLの廃止とCATVの光インターネットサービスとは?
光回線を知るために、ADSLやCATVとの違いやそれぞれの現状もここで見ておきましょう。
光回線の速度はADSLの20倍。NTTは2023年1月末の廃止を発表
「ADSL」と聞いてピンと来ないという人も増えてきましたが、これはインターネットが全国的に普及し始めた頃は多くの人が使っていた通信方法です。
電話回線を利用した回線で、2000年台前半はネット回線の主流でした。
ただ、下り最大50MbpsのADSLに対して光回線は1Gbpsであるため、より速い通信を求めて光へ切り替えるユーザーが多いことや整備保持が難しいことから、2023年の1月末には廃止することをNTTが発表しています。
Yahoo!BBも2024年に廃止することを公表しているため、今後光回線への切り替えが進みそうです。
ADSLについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
CATVは光回線より遅いと言われるが、地方では10Gbpsの接続サービス提供も
「CATV」は、ケーブルテレビと言えば誰もが聞いたことがありますよね。
ケーブルテレビは、テレビ放送波(地上波・衛星)を受信して、光ファイバーケーブルと同軸ケーブルの2つのケーブルを使って家庭までテレビやインターネットなどを提供するサービスです。
電柱から自宅に引き込む際に同軸ケーブルを通るため、速度は光回線より遅くなってしまいます。
しかし最近では、フレッツ光やnuro光を超える10Gbpsでの接続サービスが提供されている地域もあるんです。
ここまで速い光回線サービスを提供しているCATVはまだそう多くはありませんが、地域によってはわざわざ光回線の契約をしなくても便利に使えるかもしれません。
光回線のメリット・デメリット
では、光回線にはどのようなメリットやデメリットがあるんでしょうか。
光回線のメリット
光回線のメリットは、以下の通りです。
データ通信が無制限に使えて、速度制限は基本的には無い
月間通信容量が無いというのが光回線の何よりも大きなメリットと言えます。
また、スマホやポケットWifiにあるような「3日で10GB以上の使用による低速化」といった短期制限は、光回線にはありません。
ただ、あまりにも大容量の通信を継続して行っていた場合は直接事業者側から制限を受けることも例外としてあります。
安定して速い速度での通信が可能なのでオンラインゲームユーザーにおすすめ
4G LTEやWiMAX通信とは異なり、直接回線を建物内まで引き込んでいる光回線は、有線であるために接続は安定します。
光コンセントが使えれば、より速い速度での通信が可能ですね。
無線通信に比べて突然繋がりづらくなったり接続が切れてしまう心配が少なく、反応速度も良いので、バトル系のオンラインゲームも安心してすることができます。
光電話や光テレビが使える
相手の声が聞き取りにくい、雨風がひどくてテレビが映らないという経験はありませんか。
私の実家は、アンテナから遠い部屋は一部の番組しか見れないほど電波が安定せず、天気の悪い日はそれさえも映らないということもあります。
光を使った電話やテレビなら、そういった心配も要りません。
光電話への切り替えは、以前の電話番号や電話機をそのまま使える
従来の固定電話は、アナログ回線を使っていたため、電波局との距離が遠いと雑音が入る、声が届きにくいといった問題がありました。
しかし、光電話であれば光ファイバーを使ったデジタル信号でやり取りするので、距離に関係なくクリアな音質で電話することができます。
NTTのアナログ電話は、基本料金が1,760円なので、ネット料金に+550円前後で契約できるのはかなり安いです。
光テレビなら、チューナーとテレビを繋いで天気を気にせず番組を楽しめる
光テレビは、光回線とチューナー、テレビをそれぞれ繋ぐことで、工事不要でテレビを見ることができるというものです。
アンテナを立てる必要が無く、天気に左右されずに好きな番組を楽しむことができます。
(参考:ひかりTV公式HP)
光回線のデメリット
対して、光回線のデメリットは、次の通りです。
インターネット無料のマンションは最初から最大速度が決まっている可能性がある
- ネットが無料で使えるマンションやアパートを賃貸契約しようと考えている
- オンラインゲームや動画視聴のネット利用が多い
この2つに当てはまる方は、契約前に気を付けてほしいことがあります。
ネット無料物件でLAN方式の私の自宅では、夕方や夜間に高画質の動画を見ようとすると途中で読み込みが止まって進まなくなることがあり、時々イラっとすることがあるんです。
無線LANルーターやケーブルの規格が1Gbpsに対応していても、配線がFTTB方式であれば最大速度は100Mbps程度に落ちてしまいます。
物件を選ぶ際は配線方式がFTTHなのかFTTBなのかを、内見の際に確認しておくと良いかもしれません。
初期工事が必要になることがある
インターネットが引かれていないマンションや戸建ての場合は、光回線を使い始めるにあたり初期工事が必要になります。
工事には1万円から3万円前後掛かると言われますが、契約先によっては工事費用を負担してくれる事業者もあるので、キャッシュバックで負担をどこまで軽減できるのかなどを比較してみましょう。
なお、マンションやアパートで工事が必要になるような場合は、大家さんや管理会社に事前に了承を取るなどの段取りも必要です。
光回線の開通まで時間が掛かることが多い
光回線契約をしても、引っ越しの時期で業者が立て込んでいる、土日の空きが無いなど時期によっては工事や開通までに時間を要することが多いです。
1週間程度で済む場合から3ヶ月程度掛かる場合までケースは様々で、それまで光回線が使えないとなると不便です。
もしすぐにWiFi環境が必要ならば契約期間に縛りがないポケットWiFi等を検討する必要があります。
月額料金が割高
速度が速く安定して接続ができるといったメリットがあることで、月額料金は平均5,000円前後というところが多いでしょう。
光電話や光TVといったオプションも付けると、月額7,000円ほど余計にかかってしまう事業者もあります。
それでも契約先によっては携帯とのセット割や光コラボの利用で、通信費をお得にできる方法もあるんです。
おすすめの光回線の選び方や人気事業者の料金について、次から詳しく解説していきます。
【2021年度版】光回線のおすすめの選び方と人気事業者の料金比較
光回線を選ぶにあたって必要なのは、自分現状を丁寧にチェックすることです。
そうすれば自然と自分に合った契約先が見つかると思います。
光回線のおすすめの選び方
光回線を選ぶとなると、どのような基準で契約先を選べば良いか悩みますよね。
契約前にチェックしておきたい項目は次の通りです。
- 初期工事が必要かどうか
→初期費用や工事費用を負担してくれるキャンペーンを狙う - スマホの契約先はキャリアか格安SIMか
→キャリアなら光コラボ、格安SIMなら電力系がおすすめ - 通信速度を重視するかどうか
→NTT東西の回線は混雑しやすい
3つの項目を順に見ていきましょう。
契約先のキャッシュバックや割引キャンペーンを確認する
光回線の導入で誰もが一番ネックに感じるのが、初期工事や設備に掛かる費用ですよね。
初めて光回線を引くという場合、事業者では次のようなキャンペーンをしていることが多いです。
- 初期費用無料
- 工事費用負担
- 初期費用割引
- 全額キャッシュバック
こういったキャンペーンをうまく利用することで、導入に伴う工事費用の心配は無くなりますね。
ただ、キャンペーン適用条件には2年契約や3年契約といった縛りがあることが多く、途中解約の場合は違約金や残債として高額な費用を請求される可能性もあるという点に関しては気を付けなければいけません。
スマホとのセット割で月110円から月1,100円の割引になる
スマホの契約先がキャリアであれば、1回線につき毎月550円から最大1,100円割引できるセット割があります。
詳細:https://insravemedia.jp/kaisenosusume
サービス | 対象スマホ | 割引内容 | 詳細 |
ソフト バンク光 |
ソフトバンク | スマホ料金 最大1,100円引き |
詳細 |
ドコモ光 | ドコモ | スマホ料金 最大1,100円引き |
詳細 |
auひかり | au | スマホ料金 550円~1,100円引き |
詳細 |
NURO光 | ソフトバンク | スマホ料金 最大1,100円引き |
詳細 |
So-net光 プラス |
au | スマホ料金 550円~1,100円引き |
詳細 |
※税込表記
ドコモやソフトバンクのスマホを使っている人は、各光コラボに加入することでスマホ代を安くすることができますよ。
ドコモやソフトバンクなら10回線までセット割が適用できます。
ただ、auユーザーは少し勝手が違うので注意してください。
実は、東海地方・近畿地方・沖縄県の戸建てプランはauひかりは対応していません。
(マンションタイプは沖縄以外全国対応)
auスマートバリューでスマホ代を抑えたい人は、割引を適用できるビッグローブ光やSo-net光プラスなどの光コラボを検討すると良いでしょう。
スマホの契約先が格安SIMなら、電力系の光コラボのセット割を使おう
格安SIMを展開している会社は、光回線のプロバイダや光コラボの事業者であることが多いです。
そのため、格安SIMの契約先が運営している光回線を一緒に申し込むことで割引できます。
ただ、割引額は110~660円なので、キャリアに比べるとお得感が少ない印象を受けるかもしれません。
割引額にがっくり来ている人におすすめしたいのが、電力系の光回線です。
ネット代と一緒に電気代やガス代をまとめることで、月500円程度の割引を受けることもできます。
セット割で少しでも割引額を増やしたい人は、SIMの契約先よりも自分のエリアの光コラボ先を探してみましょう。
混雑しない回線で通信するならNURO光・auひかりで契約かv6プラス利用
「フレッツ光が以前に比べて遅い」と言われるようになったのは、NTT東西の回線を使った通信が多いこと、一人当たりの通信量が増えたことなどが理由として挙げられます。
近年増加している光コラボも、事業者がNTT東西の回線を借りてサービスを提供しているため、エリアや時間帯によっては回線が混雑するという現象が起きてしまうんです。
こういった通信速度が遅いという状況から逃れるためには、現在2つの方法があります。
一つは、NTT東西が使っていない回線を使う方法、もう一つは「IPv4 over IPv6」いわゆる「v6プラス」や「v6アルファ」と呼ばれる通信規格を使う方法です。
実は、NURO光やauひかりは、NTT東西が使っていない回線を利用し、設置に必要な機器を自社で揃えてサービスを提供する「接続」型の提供形態を取っています。
つまり、NTT東西が使っていない回線で通信できるので、混雑せずに速い速度での通信が可能というわけです。
NURO光やauひかりでは、最大10Gbpsの速度で通信するプランも提供されているので、料金を気にしないという方はこちらを検討しても良いでしょう。
IPv4とIPv6の違いを分かりやすく解説、IPv6対応でも速度が速くなるとは限らないって本当?
おすすめの事業者と料金比較
前述の光回線のおすすめの選び方を踏まえて、何を重視して選んでいくかは決まりましたか。
本記事では工事費用や月額料金、通信速度といった項目に沿って比較しています。
検討中の方はぜひ参考にしてください。
工事不要でWi-Fiを使いたいならポケットWiFi
建物が古くて光回線に対応していない、大家さんの許可が下りなかったといった理由で工事ができないといった理由で、光回線の代替が欲しいという人もなかにはいることでしょう。
そういった場合に、ポケットWiFiや置くだけWiFiという代替案があります。
今は無制限にLTE回線が使えて、月額料金も安いポケットWiFiが多数ありますから検討にいれてみるのも良いでしょう。
基本的には通信速度が速い光回線ですが、マンションなどの場合は混雑などで非常に遅くなってしまう場合もあるので、ポケットWiFiの方が使い勝手が良い場合もあります。
光回線の新規契約はよく調べて慎重に契約しよう!!
光回線の契約は専用のコードや機器が必要であったり、マンションによって配線方式が違ったりしていてややこしく、契約にも開通にも時間が掛かりがちです。
その時に一番気を付けてほしいのは、勢いで契約してはいけないということです。
ある調査(※)によると、キャリアの光コラボ契約時に、他と比較することなく契約した人は8割にも上ります。
その結果、キャリアの光コラボ契約者の通信速度や料金に対する満足度が、他のFTTH契約者と比べて低いことが分かっています。
(※総務省「電気通信市場の分析結果・新たな基本方針について」より)
- 自宅の状況(戸建て/マンション)
- 初期費用と必要契約年数
- セット割でいくらお得になるのか
といった点を必ず確認し、複数の事業者を比較したうえで契約するようにしましょう。