スマホを使う上で避けて通れないのが、一定の条件で発動する「通信制限」です。
高速データ通信の容量不足や、一定期間内での使い過ぎによって通信制限が掛かると、ネットの接続が遅くなりストレスが溜まってしまうことも。
通信制限を逃れる方法はないので、通信量の節約やWiFi接続への切り替えで、通信制限と上手に付き合っていくことが大切です。
そこで本記事では、スマホの通信制限に関する知識や対策方法について、詳しく解説します。
そもそも通信制限とは?
通信制限とは、特定の条件を満たしたときに通信速度が低下するシステムのことです。
次の2つのいずれかに該当した場合に通信速度の制限が始まりますが、インターネットを快適に使えなくなるので可能な限り避けたいところ。
- 契約した容量を使い切る
- 一定期間の通信量が制限値を超える
通信制限のシステムについて見ていきましょう。
契約した容量を使い切って速度が低下する場合
スマホなどの契約では、料金プランで定められている通信容量を使い切ると、それ以降の通信には速度制限が掛かります。
例えば、高速データ通信容量が6GBのプランを契約している場合、基本的には6GBを使い切るまでは高速通信で使用可能です。
しかし、月間の通信量が6GBを超えると通信制限が掛かり、翌月になるまで低速通信しかできない状態になります。
通信制限時の速度はキャリアや格安SIM会社など事業者によって異なりますが、最大200kbpsくらいに制限されることが多いです。
常に快適な通信を行うためには10Mbps程度の速度が必要だと考えられていますが、200Kbpsではその50分の1の速度しか出ません。
低速通信状態では、テキスト主体のウェブサイトの閲覧やLINEでの通話はそれなりにできますが、YouTubeの低画質動画やビデオ通話は困難です。
翌月まで制限が解除されないというのは、ネットを使う上で大きなストレスになってしまうでしょう。
1日ごとや3日ごとの短期間の制限がある場合
事業者によっては、一定期間内の通信量が制限値を上回った場合に、短期間の速度制限が掛けられることもあります。
短期制限が全くない事業者もあり、この場合は短期間で使いすぎたからといって制限されることはないので、月間の使用量だけに注意すれば大丈夫です。
短期制限がある場合、制限の基準値や速度制限が掛かる期間などは事業者によって異なります。
例えば、3日間の通信量が10GBを超えた場合は翌日の通信速度を制限する、という条件の場合を考えてみましょう。
この例では、直近3日間の通信量の合計が10GBを超えると制限が掛かるので、2日前に2GB、1日前に3GB使っている場合は、当日に5GB以上使用すると翌日の通信速度が制限されることになります。
当日の使用量を5GB以内に抑えた場合は制限が掛からず、翌日は通信量を2GB未満に抑えれば通信制限は掛かりません。
格安SIMの多くでこういった短期制限が設けられているため、その日ごとに通信量が大きく変わる場合は厄介です。
OCNモバイルONEやnuroモバイル、エキサイトモバイルのように、速度制限が掛かった状態でも使いすぎるとさらに遅くなってしまうという格安SIMもあります。
通信制限にかからないための対策方法
通信速度を制限されると、インターネットを快適に使えなくなるのでストレスがたまります。
制限に引っ掛からないようにするための対策方法を見ていきましょう。
通信量を節約する
通信制限の対策として最も一般的なのは、料金プランの容量に収まるように通信量を節約することです。
次の2つの対策を取るようにすると、通信量を抑えることができます。
- スマホやアプリの設定を変える
- 無料で使えるフリーWiFiアプリを利用する
スマホやアプリの設定を変える
最も簡単に行うことができる節約方法は、スマホやアプリの設定変更。
たとえばスマホであれば、アプリごとにモバイルデータ通信をオフにして、WiFi環境下でしか通信できないようにしたり、アプリの更新を手動で行うようにすれば、使っていないアプリで勝手に通信が行われるのを防ぐことができます。
また使用しているアプリ自体にも画質変更や、節約モードがそれぞれ設定されている場合があるので、使用頻度の高いものは設定を変えておくといいでしょう。
詳しい設定方法はこちらの記事を参照してください。
無料で使えるフリーWiFiアプリを利用する(ギガぞう、タウンWiFi)
スマホの通信量はモバイル通信時に消費されるものなので、WiFi使用時には減りません。
つまり、WiFi環境があるときはWiFiでの通信に切り替えるようにすると、ネットを快適に使いながらも通信量を節約できるということです。
現在では街中の至るところにフリーWiFiスポットが設置されているため、通信量を節約するために活用できます。
ところが、こういったフリーWiFiは誰でもアクセスできるネットワークなので、個人情報を盗まれるなどセキュリティ上の危険性に注意が必要です。
そこで、WiFiを安全に使うためには「ギガぞう」を、手軽に使うためには「タウンWiFi」というアプリを活用してみましょう。(参考:ギガぞうとは)(参考:タウンWiFiとは)
「ギガぞう」の特長は、大手キャリアが提供しているWiFiと同等レベルのセキュリティのあるWiFiを、月額200円(税込)で利用できること。
VPN(プライベートネットワーク)通信機能が備わっているため、フリーWiFiに安心して接続可能です。
ただし、ギガぞうを使用するとスマホのバッテリー消費量が多くなることや、WiFiの特性上モバイル通信よりも接続が不安定になりやすいなど、デメリットもあります。
「タウンWiFi」は「ギガぞう」と同じようにフリーWiFiに関するアプリですが、こちらは「自動的に近くのフリーWiFiに接続してくれる」機能があることが特徴。
通信量の節約に便利なだけではなく無料なのが大きな魅力ですが、ネットワークのセキュリティ保護はされていないので安全性に注意してください。
タウンWiFiの安全性を高めたい場合は「WiFiプロテクト」を無料で使えますが、あまり評判は良くないため、セキュリティが気になる場合は「ギガぞう」を使うようにする方が良いでしょう。
こまめに通信量を確認する
当月分と直近数日分のデータ通信量に関しては、各キャリアや格安SIM事業者の公式サイト上の「マイページ」、もしくはそれに該当するページで確認することができます。
ドコモの場合
ドコモの場合は、「dメニュー」ら「My docomo(お客様サポート)」へログインすると、当月の利用データ通信量が表示され、右上の「詳細」をタップすると当月分と直近3日分の通信量が表示されます。
auの場合
auの場合はブラウザでauの公式サイトにアクセスして、画面左上のメニューボタンを選択して「My au」を開いてログイン後、メイン画面で「利用状況タブ」を開いてスクロールすると、現在のデータ残量やその内訳を確認可能です。
Softbankの場合
ソフトバンクの場合は、「My SoftBank」へアクセスして「メニュー」からカテゴリの「使用量の管理」を選択し、利用状況の「詳細をみる」もしくは「過去の通信量」をタップすると、現在のデータ使用量や直近3日間の通信量を確認できます。
しかし、こういった確認方法では手間が掛かる上にモバイル通信も発生するので、できれば端末だけで確認できる方が便利です。
iPhoneの場合
iPhoneの場合は、ホーム画面で「設定」から「モバイル通信」へ進むと、「現在までの合計」項目で通信量の総量を確認できます。
ただし、ここに表示されるのは「前回リセットしてからの総量」なので、月間使用量を確認できるようにするためには、画面下部の「統計情報をリセット」を月末など月額料金の締め日にタップして、月ごとに統計をリセットする必要があるので注意してください。
Androidの場合
Androidの場合は端末によって異なりますが、ホーム画面で「設定」を起動して、「接続」から「データ使用量」の順にタップすると、当月の通信量の合計を確認できることが多いようです。
また、「データ使用量」の画面で「測定開始日と使用量の警告」をタップすると、測定開始日の変更や指定した通信量を超えたときの警告通知の設定など、便利な機能を使えるので活用してみましょう。
適切なプランに変更する
フリーWiFiや通信量節約法などを駆使しても、どうしても通信量が料金プラン内に収まらないことがあります。
そういった場合は、キャリアのサブブランド(ワイモバイル、UQモバイル)や格安SIMに乗り換えて適切な料金プランで契約するか、ポケットWiFiを使うようにすると解決できるかもしれません。
プラン名 | 高速データ 通信容量 |
月額料金 (税込) |
【キャリア】 ドコモ 「ギガライト」 |
7GB | 6,765円 |
【サブブランド】 ワイモバイル 「シンプルプランM」 |
15GB | 3,278円 |
【格安SIM】 OCNモバイルONE |
10GB | 3,168円 |
【格安SIM+ポケットWiFi】 mineo+ ゼウスWiFi |
1GB+ 40GB |
1,298円+ 2,948円 |
※家族割などの割引なしの場合
例えば、ドコモの「ギガライト」は上限通信量7GBで月額料金が6,765円ですが、ワイモバイルの「シンプルプランM」では15GBで月額料金が3,278円です。
どちらも割引等を考慮しない場合の基本料金なので単純な比較はできませんが、それでも通信量が増えて料金が明らかに安くなるのは大きな魅力。
格安SIMであれば、サブブランドよりさらに料金が安くなるので、月額料金をとにかく安くしたいという人にはおすすめです。
さらに、大容量で通信するなら、格安SIMを小さな容量で契約し、ポケットWiFiや大容量データSIMと併用するのがいいでしょう。
ただし、格安SIMやポケットWiFiには「短期制限」があることが多いので、一定期間内に使いすぎないように注意が必要です。
通信制限に関するQ&A
通信制限に関する質問についてよくあるものをまとめたので、制限で困ったときの参考にしてください。
通信制限の解除はいつ?
A.月の通信容量を使い切った場合は翌月1日から順次。短期制限の場合は、翌日から利用可能。
前述したように、通信制限が掛かる条件には大きく分けて「契約した容量を使い切る」「一定期間の通信量が制限値を超える」の2種類があります。
月間の通信容量を使い切った場合は、残念ながら翌月1日まで通信制限は解除されません。
モバイルデータ通信では低速通信しかできないので、ネットを快適に使うためにはWiFiを活用してなんとか切り抜けましょう。
短期制限に引っ掛かった場合は、翌日になると元の速度に戻るので安心してください。
ただし、OCNモバイルONEやnuroモバイル、エキサイトモバイルのように、短期制限中に使いすぎるとさらに遅くなる格安SIMもあるので、公式サイト等で制限の条件を確認しておくと無難です。
通信制限を自分で解除することは可能?裏技はあるの?
A.高速データ通信量を追加購入することで解除可能な場合も。無料で解除できる裏技はないのであきらめて。
事業者によっては、月間のデータ通信量を使い切った場合でも、追加料金を支払うことで容量を追加できることがあります。
例えば、ドコモには1回1,100円支払うと通信容量が1GB増える「1GB追加オプション」というシステムがありますが、コストパフォーマンスが良いとは言えません。
残念ながら、無料で解除する方法や制限をすり抜けられるような裏技はないので、諦めるしかありません。
通信制限にかかってもできることはある?
A.制限時速度による。LINEのメッセージ機能やテキストメインのサイトは利用可能。
事業者ごとに通信制限下での速度が違うので断定はできませんが、どの事業者の場合でもテキスト主体の通信は問題なく行えることが多いです。
ドコモや楽天モバイル、UQモバイル、ワイモバイルなど一部の事業者では、通信制限下でも1Mbps程度の中速で通信できるものもあります。
1Mbpsの速度では、LINEのメッセージやビデオ通話、中画質設定(480p~720p)でのYouTube動画の視聴、SNSなどはほとんど問題なく使用可能なので、意外とストレスは少ないかもしれません。
また、IIJmioやOCNモバイルONEなど一部の格安SIMでは「バースト転送機能」があり、低速通信状態でも最初の一定量のデータを高速で読み込めるため、テキストメインのサイトなら比較的快適に使えることもあります。
ただし、バースト転送機能があっても動画閲覧には力不足なので、どうしても高速通信を行いたい場合は、WiFi接続に切り替えるしかありません。
【まとめ】通信制限はかかる前に節約などの対策をするか、通信制限にかからないようなプランに変更しよう
通信制限はかかってしまってからだと、データ容量の追加購入しか解除の方法がなく、とても不便です。
そのため日頃から節約をして、通信制限にかからないよう工夫するのが大切です。
節約は苦手、どんどんネットを使いたいという人は、契約しているプランを見直しましょう。
単純に格安SIMの安いプランに変えて、その分容量を大きいものにするのもいいですし、制限時の速度が1Mbpsの中速のものに乗り換えて、制限時にもある程度使えるようにするというのもありです。
ただし中速状態でも、高画質の動画の視聴や、データのアップロードダウンロードなどは、速度が足りないことが多いため、そういった場合はポケットWiFiや大容量データSIMを契約して併用するのがコスパがよくおすすめです。